懐かしの映画集 その11
羊たちの沈黙 フライド・グリーン・トマト マルセリーノ パーネ ヴィーノ 心の旅 沈黙の戦艦 許されざる者 天使にラブ・ソングを ボディガード 氷の微笑
TOP 1 羊たちの沈黙 The Silence of the Lambs 1991
ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス主演のサイコ・スリラーの最高傑作です。 若い女性たちを狙い、殺して皮を剥ぐという凄惨な連続殺人事件が発生します。 犯人像を割り出すためFBI訓練生クラリス（ジョディ・フォスター）が監禁中の天才精神科医でしかも人食い殺人鬼のハンニバル・レクター（アンソニー・ホプキンス）を何回も訪ねます。 クラリス自身の過去のことを話すという条件で犯人解明にハンニバルは協力します。
しかしこの映画、凄かったですねえ、色々なシーンがありましたが、あのハンニバル脱走のところはすごかったですねえ、想像を絶します。 犯人の家に単身クラリスが乗り込むところも怖かったですねえ、何しろ暗闇の中、相手は暗視スコープを着けているところを手探りで向かっていくんですからね。
この映画はアカデミー賞史上三度目の、作品・監督・脚本・主演男優・主演女優の「主要五部門」の賞を独占獲得した作品です。 前にも記しましたが、最初の映画は「ある夜の出来事」、つぎは「カッコーの巣の上で」でした。 しかしこんな異常な犯罪を扱った映画が受賞するとは考えられませんでしたが、よくできた作品でした。
ところで、これの続編の小説が最近出版されました。 「ハンニバル」という題名です。 すでに映画化されたそうですが、封切りはまだですね。 アンソニー・ホプキンスは出演するそうですが、ジョディ・フォスターは出ないそうです。 この「ハンニバル」読みましたが、こちらも凄い。 どういう風に映画化したのか今から楽しみです。
この続編のフィレンツェ編で出てくるオルトラルノ（アルノ川の向こう）の小径は、奇しくも何年か前フィレンツェを訪れたときに通りました。 ポンテ・ベッキオからサンタ・フェリチタ教会、ヴェルヴェデーレ要塞を経由して、サン・ミニアート・アル・モンテ教会へ歩いて行ったときの坂道です。 読んでいて昨日のことのように風景が甦ってきました。 コスタ・ディ・サンジョルジョとかヴィア・ディ・ヴェルヴェデーレとかの坂道です。 このあたりの小径は昔からそのままだそうで、ガリレオ・ガリレイの家もそのまま残っています。 フィレンツェに旅行の機会があれば是非散策されることを薦めます。
TOP 1 フライド・グリーン・トマト Fried Green Tomatoes 1991
ともに前作でアカデミー賞を受賞したキャシー・ベイツ（ミザリー）とジェシカ・タンディ（ドライビング・ミス・デイジー）とが、静かに、しかし熱く、人々に勇気と生きる喜びを教えてくれます。
キャシーはもう若くもない、しかし年寄りでもない人生に疲れた主婦です。 テレビに夢中で彼女に全く関心を示さない夫と暮らしています。 ある日、叔母の見舞いで訪れた老人ホームで突然ジェシカに話しかけられます。 「ニニーってよばれてるの。 82歳の未亡人、よろしくね。」 不思議な魅力のその老婦人が語る勝ち気・奔放なイジーと清楚で上品なルースの物語にキャシーは心を奪われるのでした。
アメリカ南部の名物料理「グリーン・トマトのフライ」を出すカフェを舞台に、果敢に人生を切り開いていこうとするイジーとルースの姿を通して、キャシーは失っていたときめきと情熱を取り戻すのです。 ジェシカ・タンディはこの作品でもアカデミー助演女優賞にノミネートされました。
TOP 1 マルセリーノ パーネ ヴィーノ Marcellino Pane E Vino 1991
舞台は17世紀のイタリア、ウンブリア地方です。 あのアッシジの聖フランチェスコを生んだ地方、イタリアの田舎のとある修道院でのできごとです。 聖マルセリーノの祝日に修道院の前で拾われたのでそう名付けられた男の子は、12人の修道士たちに育てられます。 乳児から幼児、そして小児と、汚れを知らないマルセリーノはすくすくと愛らしく育っていきました。 ある日屋根裏で見つけたキリスト像をめぐってパンとワインの奇跡が起こるのです。
この映画は1955年の「汚れなき悪戯」という邦題名で公開されたスペイン映画のリメイクです。 今度はイタリア映画となりました。 最初の「汚れなき悪戯」の主題曲「マルセリーノの歌」は一世を風靡しました。
TOP 1 心の旅 Regarding Henry 1991
あのハリソン・フォードが主演いたしましたる、感動のヒューマン・ドラマです。 ニュー・ヨークの有能な辣腕弁護士ヘンリー（ハリソン・フォード）が、ある日夜中にストアにタバコを買いにきて強盗にピストルで撃たれます。 幸い命をとりとめましたが、その日から記憶喪失となった重傷者のヘンリーは只の人。 病院そしてリハビリ・センターでの訓練の甲斐あってなんとかしゃべれて歩けるまでに回復しますが、昔の辣腕さはすっかり影をひそめて優しい人に。 そこから始まる愛と感動と勇気の物語、いやーよかったですねえ、最後のクライマックス、不覚にも涙腺がゆるみました。
まあしかし傑作だったのは、リハビリのある日、ヘンリーが「リッツ」と何だか思い出して呟きます。 リハビリ訓練士はそれを聞いてなんだリッツかと、一箱のリッツ・クラッカーを与えます。 しかしこの「リッツ」ではなかったのです。 事故に遭う前ヘンリーは同じ法律事務所の女性と毎日のように「ザ・リッツ」で密会をしていたのでした。
スター・ウオーズやインディ・ジョーンズのハリソン・フォードが今回は、なかなか渋いというか人間的な役を迫真的に熱演しています。 監督はあの「卒業」のマイク・ニコルズでした。
TOP 1 沈黙の戦艦 Under Siege 1992
核を搭載したアメリカのハイテク戦艦ミズーリが舞台です。 登場しますは元CIA諜報員のスティーブン・セガールです。 ライバックという元秘密戦闘員で艦長が連れてきたミズーリの「コック」役を演じます。 痛快で軽快なテンポのストーリー展開です。 艦長の誕生パーティーの楽団一行に偽装してテロリスト集団がミズーリに乗り込んできます。 裏切り者クリル中佐の手引きでまんまとミズーリは乗っ取られ艦長も殺され、搭乗員はすべて船倉に閉じこめられます。
その前に厨房の保冷庫に監禁されたライバックがなんとか脱出して一人でテロリスト集団と戦いを始めるのです。 助手は大きな誕生ケーキの中で眠ってしまった少しおつむの弱い？ショー・ガールです。 次々と繰り広げられるマシン・ガンでの撃ち合い、核兵器を受け取りにきた第三国の潜水艦との戦い、ホノルルに照準をあわせた核ミサイルの空中爆破、等々痛快アクションの連続で、息つく暇もありません。 この映画でセガールは一躍有名になりました。
TOP 1 許されざる者 Unforgiven 1992
「純粋西部劇」で初めてアカデミー作品賞と監督賞をとった映画です。 元来アカデミーは西部劇には冷たく、長いアメリカ映画史の中でも、山ほど作られた西部劇のジャンルには賞を与えませんでした。 二つほど獲得作品（シマロン1931、ダンス・ウイズ・ウルブス1990）がありますが、これらは西部劇というよりアメリカ史劇とでも云うべき作品です。 またこの「許されざる者」は、あのクリント・イーストウッドが初めて監督・作品賞をとった映画でもあるのです。
老いぼれて引退した名うてのガン・マン、クリント・イーストウッドが貧しい農夫として暮らしているところへ、若い口だけのへなちょこガン・マンが賞金稼ぎの話を持ってきます。 貧しくて子供を育てあぐねていた彼は昔の相棒、モーガン・フリーマンを誘って三人で町へ向かいます。 しかしそこには賞金稼ぎを目の敵にしている恐るべき保安官のジーン・ハックマンが待ち受けていました。 この保安官のために別の名うての賞金稼ぎのリチャード・ハリスはこてんぱんにやっつけられて追い返されます。 モーガン・フリーマンもひどい目にあって殺されてしまいます。 結局クリント・イーストウッド一人で娼婦の賭けた賞金を手に入れ、保安官も射殺してしまいます。
なかなか渋い感動的な映画でしたねえ、性格俳優もたくさん出ていて。 モーガン・フリーマンは「ドライビング・ミス・デイジー」、ジーン・ハックマンは「俺たちに明日はない」「フレンチ・コネクション」、リチャード・ハリスは「ナバロンの要塞」「戦艦バウンティ」、等々で有名です。
TOP 1 天使にラブ・ソングを Sister Act 1992
あの「カラー・パープル」「ゴースト」のウーピーが見せます、傑作コメディー。 舞台はネバダ州リノとサン・フランシスコです。 リノのしがない歌手ウーピーがマフィアの殺人現場を目撃したばっかりに命を狙われる羽目に。 警察は彼女をサン・フランシスコの修道院に預けます。 そこでは厳格な修道院長マギー・スミスが厳然と君臨していました。 しだいに修道女たちと仲良くなったウーピーは聖歌隊の指揮を任されることになり、ロックやソウルを取り入れ始め、町の人気者に。 いままで閑散としていた大聖堂も立錐の余地もないほどの人が毎日曜日つめかけるようになりました。 ついにはローマ教皇様も評判を聞いて聴きにいらっしゃるという有様。 しかし追っ手がすぐそこに。
しかしあのマギー・スミスいいですねえ、「眺めのいい部屋」にも出演してましたね。 まったく下手くそな聖歌隊がウーピーによって段々上手になっていくところとか、追っ手に追われて修道女たちがリノのカジノを逃げ回る様とか、面白かったですね。 ウーピー最高のノリでした。
TOP 1 ボディガード The Bodygurd 1992
あのケヴィン・コスナーと映画初出演のホイットニー・ヒューストンが主演です。 アメリカのポップ・ミュージック界のトップ歌手ホイットニーがそのままの役で出ています。 何者かに命を狙われる超有名歌手、それを阻止せんとするボディガードの迫真の演技で魅了してくれました。
しかしそれにしてもホイットニーの歌、すばらしいですね、何回聴いても感動的です。 そしてあの迫りくる暗殺者、怖かったですねえ、ホント。 最後は、アカデミー賞授賞式会場のあのカメラ・マン。 体を張ってのケヴィン・コスナーもよかったですね。
TOP 1 氷の微笑 Basic Instinct 1992
怖い映画でしたねえ、この作品、のっけから凄惨なバイオレンス・シーン。 あのカーク・ダグラスの息子のマイケル・ダグラスとシャロン・ストーンが主演でした。 殺人罪の容疑者にあげられたバイ・セクシャルの美人小説家のシャロン・ストーンは、隠された過去を持つ担当刑事マイケル・ダグラスを挑発的に誘惑します。 彼の過去のことを彼女は知り尽くしていたのです。 さらに二人の女性が関係してきます。 ひとりは彼の恋人である心理学者で、学生時代にシャロン・ストーンと同性愛の関係であったという設定。 もうひとりはシャロン・ストーンと同棲中の女友達。 三人の女の愛に操られるマイケル・ダグラスは段々愛欲の迷路にはまり込んでいきます。 マイケル・ダグラスにも別の殺人容疑がかかってきます。 休職を命じられ、しかし犯人の魔の手がのびる中、彼は「基本的本能 basic instinct」だけを頼りに、ひとり危険な捜査に挑んでいくのでした。 しかし最後まで犯人判りませんでしたねえ、この映画。
02/10/2001