懐かしの映画集 その３
昼下がりの情事 悲しみよこんにちは 渚にて ５つの銅貨 アパートの鍵 貸します 栄光への脱出 太陽がいっぱい スパルタカス ウエスト・サイド物語 キング・オブ・キングス アラビアのロレンス
TOP 昼下がりの情事 Love in the Afternoon 1957
ビリー・ワイルダー監督、オードリー・ヘプバーン、ゲーリー・クーパー主演のロマンチック・コメディーです。 パリ、コンセルバトワールでチェロを学んでいるオードリー・ヘプバーンは、私立探偵である父の調査に度々出てくるゲーリ・クーパーに恋をします。 そして逆に世界的プレイボーイの彼の心を虜にしてしまうのです。 去り行く列車を追って走る娘とこれを見守る父のラストシーン、いいですねえ。
TOP 悲しみよこんにちは Bonjour Tristesse 1958
フランソワーズ・サガン原作しかも処女作の映画化です。 パート・カラーを回想シーンに使っています。 南仏のリビエラの夏、父デビッド・ニーブンと愛人デボラ・カーとの情事を邪魔しようとする娘ジーン・セバーグのせめぎあいの物語です。 遊び人の父が気だての良い可愛い女ミレーヌ・ドモンジョを相手にしているときはまだよかったのですが。 ジーン・セバーグ演じますセシールのぴったりと頭についたショート・カットはセシール・カットと呼ばれて大変流行したそうです。
TOP 渚にて On the Beach 1959
スタンリー・クレーマー監督作品です。 グレゴリー・ペックが原子力潜水艦の艦長です。 第三次世界大戦が1964年に勃発し、核ミサイルが使用され云わゆる核戦争で北半球はほぼ壊滅。 南半球のオーストラリア周辺がかろうじて残っていました。 その海域で、死滅した筈のアメリカからの無電を傍受したグレゴリー・ペックは発信地のサン・フランシスコに向かいます。 無電内容は暗号のように意味不明でした。 防御服を着て発信地で見たものは、誰も居ない部屋でカーテンの紐にひっかかったコーラ瓶が風に揺られてモールス発信器のキーを叩いていた光景でした。 潜水艦は再び生存の可能性のない南半球へと戻って行くのでした。 主題曲は勿論あの有名な 「Waltzing Matilda」 です。 蛇足ながら、Matilda と云うのはオーストラリアの俗語で放浪者の身の回りの「包み」を意味します。 Waltzing Matilda で身の回りの包みを持って放浪すると云う意味だそうです。
TOP ５つの銅貨 The Five Pennies 1959
1920年代に活躍したジャズメン、レッド・ニコルズの物語です。 すべてが真実と云う訳ではないんですが、心温まる小児麻痺の娘への父性愛のストーリーと同時に楽しい音楽映画にもなっています。 主人公はダニー・ケイが演じます。 実在のジャズメンが出てきますが、本人が出演したのが、ルイ・アームストロングです。 すばらしいですねえ、二人の掛け合い。 最初の「リパブリック讃歌」はとってもすばらしい。 アーム・ストロングはトランペット、ダニー・ケイはコルネットです。 娘のために引退したのですが、再びカム・バックします。 娘を交えての「聖者の行進」、よかったですねえ。 思わず目頭が熱くなってきます。
TOP アパートの鍵 貸します The Apartment 1960
ビリー・ワイルダー監督のコメディーです。 1960年第33回アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞などを受賞しました。 ニュー・ヨークの保険会社に勤める独身のしがないサラリーマンのジャック・レモンが上役に頼まれ自分のアパートの部屋を浮気の場として提供します。 そのために昇進するのですが、上役の相手というのがジャック・レモンの恋人、会社のエレベータ・ガールのシャリー・マクレーンでした。 ロマンチック・コメディーですが、一抹の寂しさが漂う傑作でした。
TOP 栄光への脱出 Exodus 1960
シオニズムの流れの中で、第一次世界大戦後英国の統治下にあったパレスチナに、ユダヤ人の移住が始まりました。 ユダヤ人は二千年前に国を失って世界中に散らばっていたのです。 しかしこの地にはすでにセルジュク・トルコ、オスマン・トルコ以来のアラブ人が住んでいました。 そのために両者の争いが絶えず生じていました。 第二次世界大戦後その衝突を避けるため英国は移住しようとするユダヤ人を捕らえてはキプロス島に収容していました。 そこからの脱出劇の映画です。
パレスチナはやがて英国の手を離れ、国連の委任統治となり、分割案が出て、イスラエルが誕生したのです。 これが今でも紛争の種になっているのです。 エルサレムは確かに大昔はユダヤ人の聖地でしたが、イスラム教徒の聖地でもあるのです。 ポール・ニューマンが主演でした。 バックに流れる音楽も良かったですね。
TOP 太陽がいっぱい Plein Soleil 1960
あの「禁じられた遊び」のルネ・クレマン監督の作品です。 と云うよりもアラン・ドロンの出世作、日本で超人気になりました。 最近リメイク作品が出来たそうです、未だ見てませんが。 青い海、豪華帆走クルーザー、若者の憧れでした。 かげを漂わせたアラン・ドロンもみんなのあこがれでしたね、カッコよかったですねえ。 あんなヨット見たことなかったですねえ、あの時代の日本で。
貧乏なアメリカ青年トムは金持ちの放蕩息子を連れ戻して欲しいと、その息子の父に頼まれます。 そのためわざわざイタリアにまで出かけます。 報奨金が欲しかったからです。 ナポリに着いて、トムは金に物を云わせて遊びほうけるフィリップを見て、妬みと怒りから彼を憎悪するようになるのです。 フィリップの彼女を上手く下船させ、クルーザーの中で彼を殺して海に棄てたトムは、フィリップのサインを真似、パスポートを偽造し、銀行から金を引きだし、ローマで豪邸を手に入れます。
しかし警察の追及の手はトムに徐々に及んでくるのです。 もう一つ別の殺人も平然とやってしまい、しかも警察を逆にだましたり、悪賢い男でした。 フィリップの彼女にも遺言とか騙して、結婚の約束を交わしてしまいます。 しかし悪は露見するのです。 鮮烈でしたねえ、ラスト・シーン。 そこへ流れるあのBGM、よかったですねえ。
TOP スパルタカス Spartacus 1960
70ミリの大作映画でした。 カーク・ダグラスが製作兼主演です。 監督は若き日のスタンリー・キューブリック、まだ無名の30歳ころの事でした。 出演者はイギリスからローレンス・オリビエ、ジーン・シモンズ、ピーター・ユスティノフと豪華強力キャストでした。 トニー・カーチスも出ていました。 ローマの奴隷剣闘士の叛乱物語です。 愛する女と友人を一挙に失ったスパルタカスは悲憤に燃え怒りが爆発、剣闘士養成所の鉄格子を倒して、ローマ各地から呼応した奴隷達と共にローマ帝国に叛乱を巻き起こすのです。 まあしかしこの映画、大作の割にはもう一つという感じがしましたね。 アカデミー助演男優賞をピータ・ユスティノフがとりました。
TOP ウェスト・サイド物語 West Side Story 1961
ブロードウエーで大評判だったミュージカルの映画化です。 「ロミオとジュリエット」の物語の現代版で、舞台はニュー・ヨーク。 プエルト・リコ系とイタリア系のスラム街に於けるストリート・ギャング同志の対決です。 それまでのミュージカルと云えばどちらかというと夢の物語が多かったのですが、現実の社会問題をテーマにしたこの作品は、アメリカのミュージカルに新しい風を送り込みました。 道路での集団ダンスの振り付けなど新鮮さ溢れていました。 作曲はレナード・バーンスタインでした。 アカデミー賞も10個獲得しました。 ジョージ・チャキリスとリタ・モレノがそれぞれ助演男優女優賞をとりましたが、主演のナタリー・ウッドは別の作品「草原の輝き」で主演女優賞にノミネートされました。 しかしこの映画あのころ大ヒットしましたね。
TOP キング オブ キングス King of Kings 1961
新約聖書の映画化です。 キリストをまともに正面から描いた初めての映画でしょう。 主役キリストは青い瞳のジェフリー・ハンターでした。 新約聖書には見せ場となるエピソードがいっぱいあります。 キリストの誕生、ヨハネのヨルダン川での洗礼、サロメによるヨハネの斬首、山上の垂訓、パンと魚の奇跡、ラザロの復活、ガリラヤ湖の嵐と水上歩行、ペトロの魚、ユダの裏切り、ペトロの否認、最後の晩餐、ポンシオ・ピラトの法廷、ヴィア・ドロローサ、十字架での処刑、キリストの復活等々を丁寧に映像化してありました。
TOP アラビアのロレンス Lawrence of Arabia 1962
デヴィッド・リーン監督の大作です。 灼熱の砂漠のすざましさや太陽の美しいシーンなどを上手く捉える一方、その環境に置かれたロレンスなどの人間ドラマを鋭く描きました。 ピータ・オトゥールはこの作品でアカデミー主演男優賞にノミネートされて以来７回も主演男優賞の候補にあがりましたが、不思議なことに一回も受賞していません。 同じ様なポール・ニューマンは７回目にして獲得しましたが。 しかしそれにしてもこの映画よかったですねえ、脇をかためる俳優陣も錚々たるメンバーでした。 アレック・ギネス、アンソニー・クィーン、ジャック・ホーキンス、ホセ・ファラー、アーサー・ケネディ、オマー・シャリフ等など。 時代は第一次世界大戦、パレスチナやサウジアラビア、シリアなどが舞台です。 英国の二枚舌外交の「サイクス・ピコ協定」、「フセイン・マクマホン協定」、「バルフォア宣言」などが背景にありました。
02/10/2001