(無牙 記事と写真)
昨年9月ベトナムに行った。 海のリゾート「ニャ・チャン」が気に入った。 でもちょっと行って来るにはチョット不便、ホーチミンから乗り継ぎ便数が少ないからね。 でも日本の冬は寒い、どっか暖かい国へ行こうよ。 Hが、「じゃあじゃあ、ロタ行こう。 何回も行ってるけどイイヨ」。 即断即決、任せたっ！ 1月前半、正月休み気分に紛れて、サッとイッてサッと帰る。 何にも決めない、出たとこ勝負で。
2001年1月11日（木） 晴れ
04:30起床 気温3℃。 JR尼崎始発06:10のリムジンバスに乗り込み関空へ。 真っ暗、耳はイヤー・バンドで防寒。 半袖シャツに、極寒用長袖アンダー・ウェア（ブレスサーモ：ミズノ製）更に羽毛服。 ボトムは中寒用アンダー・ウェアの上にランズエンド製ジップ・オフ・カーゴパンツ、ソックスにデッキ・シューズ。 サッと気温30℃対応可能しかも軽くてかさばらない工夫を凝らしております。
ロタ島へは彩帆（サイパン）またはグァム経由、直行便ありません。 どちらも日本から約3時間20分、乗り換えて更に約30分、ちょうどサイパンとグァムの真ん中。 まあ、気軽なもんです。 グァムはアメリカの準州だから、米国の市民権がありますね。 サイパン、テニアン、ロタは正式国名「北マリアナ連邦」で米国の自治領ですね。 北緯14°20′東経145°20′ロタ島民は3,500名、面積は「山手線の内側」くらい。 ご存じの様に16世紀からスペインに領有され、その後ドイツに売却される。 第一次大戦後からの30年、敗戦迄は日本の委任統治下にありましたね。 サイパン＝玉砕、バンザイ・クリフ、もうこの連想は高齢者だけになったのでしょうか？ 他の島に比べてロタは戦禍が少ないと聞いています。 また水質が良く水道水は日本人でも飲めるとも聞いています。
さて、身軽ないでたちで、縦にも横にも下げられて、キャスター付きで転がせて更に、バックパックとして背負えると言う優れ物、ハンティング・ワールド社のバッグを引っ張って機内に持ち込む目論見です。 セカセカ性格なのです。 「預け荷物なし」のカウンターに行くと、綺麗な姉ちゃんがそれは持ち込んじゃ「ダメダメ」。 「規定内のはず、計ってよ」と拗ねます。 実はギリギリでヤバイサイズ。 するとちゃんと、あるんですねえ、持ち込みチェックのパイプ枠組が。 布製なのでムギュッと詰め込んで、さあ、どうよ？ 「はい結構でございます」。 2,650円もの空港使用税を払わされ、それを取り返す訳でもないけど。 クレジットカード会社がサービスしているラウンジ金剛で、ノーチャージの飲み物おつまみを口に詰め込みながら時間を潰します、セコッ。
08:55搭乗開始、係員が「赤ちゃん、小さいお子供様連れを優先します、先に搭乗して下さい」とアナウンスし、セカセカ搭乗者を堰き止めます。 しかしねえ、僕はジェントルマンですがねえ、見渡す範囲でズッと先まで該当者がもう居ないじゃないですか。 マニュアル人間ですねえ、嫌いですねえ。 09:15定刻にJAL-WAYSのJO 949便が離陸。 のんびり開高健の本を読んでいると、飲み物サービスです。 まず、ビール選択。 軽食は「サンドイッチ・ハム・レタス・フルーツ」、赤ワイン・ブランデーと呑み進みます。 アイス・モナカも完食。
この便は団体が多いです、カップルとかじゃなく家族とか一族郎党風が目立ちますね。 ちっちゃなお子さん連れでも安心なんでしょうね、サイパンは。 隣が空席だったので楽チンスタイルで読書三昧。 お誕生日イベント、ビンゴ・ゲームとか盛んに案内してましたが、団体温泉旅行風になりたくもないのでね。 着陸寸前トイレでパッチ&ソックスを脱ぎ、羽毛服は丸めてゴムバンドで止めビニール袋詰め、アンダーウェアの上もパッキング、ジップ・オフ・カーゴパンツは膝上のジッパーで切り離し済みです。
13:35サイパン着。 う〜ん、既に30℃の大気突入に相応しい格好ですねえ。 国内便発着ターミナルのSNACK BAR & RESTAURANTに飛び込み、バドワイザー、グビッ。 ふう、涼しい。 看板娘が「ONE MORE?」と何度でも聞きに来るので、「ONE MORE」。 とうとう東京組が到着するまでの2時間弱で4缶。 合流して1缶。 「アルチュハイマー」かなあ。 16:15発NW3803便「SHORTS SD3-60」30人乗りプロペラ機が離陸。 あっと云う間の16:45ロタ島着。
「THE ROTA HOTEL」のドライバーが出迎えてくれる。 10分でホテルにチェックイン。 さっそくロタ常連のHが、サイパンとかロタの知人に電話します。 「ロタ・ココナッツ・ビレッジ」のKさんが、「OK、一緒に夕食を」と言うことで18:00ロビー待ち合わせ。 おおっ、当地ではショートカットが定番ですかねえ、スポーツ刈り（死語かな）がよく似合いますねえKさん。 だいたいセイムエイジ、当地に18年とか。 Hが十数年前にダイビング中、鮫に遭遇、アタックされて危なかったところを救っていただいたとのこと。 夕食はホテルのレストラン「デルマー」。 ビールで乾杯。 チャモロ・ディナー&ワインで楽しい話に花が咲く。 その後で、夜のソンソン村（SONGSONG VILLEGE）周辺を案内していただきました。 結果的には、家族が里帰り中とかで独り身状態のＫさんに、ズッとお世話になっちゃいましたねえ。 ラッキーでした、遠慮という観念が欠如してますねえ、僕。
ホテルに戻るとHが、梅干し、電気ブラン（オールド）を持ってくる。 持つべきは「呑み友達」、みんなで沢山飲みました。 電気ブランは知ってますよね、日本最初のバーとして有名な、浅草の神谷バーの名物カクテル。 ブランデーベースで、ジン・ワイン・キュラソー・薬草とかブレンドされてますねえ。 1世紀近い歴史がありますが、昔はハイカラなものには何でも、「電気○○」とか「文化○○」とか云ったんでしょうか。 呑みすぎると頭に電気が走るからでしょうか。
2001年1月12日（金） 晴れ
06:50起床。 う〜ん、昨日は呑みすぎた。 よっく寝た、と思いましたが日本時間は05:50。 規則正しい体内時計で起きたんだ。 バルコニーから空を見上げると、曇ってたのがみるみる青空に。 正しいロタの朝です。 湿気がなくて爽快です。 日本では「寒くって歳くってガサガサお肌だ」。 ジョンソン&ジョンソンのベビーオイルを塗りたくったら、ちょっと若返った気分。 でもハエがたかる。 ちょっと多いですねえ。 トカゲ君、頑張って食っちゃってよ。
みんな起こして朝食へ。 誰だか、珍しい人が珍しい事に朝食を抜くようです。 昨晩の電気ブラン効果です。 日本人客が多いからか「和定食」なんてあります。 でも今は暇な時期か、他には一組しか居ません。 僕は、正しく「チャモロ・ブレックファスト」。 炒飯・目玉焼き・ベーコンです。 オレンジおよびジュースも付いています。 ベーコンは超塩辛く全部は食べられません。 無料?のコーヒーは味も香りもない。 13$は高いねえ、でも、ベトナムとか東南アジア諸国と比べちゃいけませんね。 一応米国自治領「北マリアナ連邦」だもん。
「マリアナ諸島」の由来は、スペイン皇后の「マリア・アンナ」から。 食後一服し、ゴム草履3.5$を買い、歩いて10分のテテト・ビーチ（TETETO BEACH）へ。 この白砂の浜は日本のCMフィルムによく登場します。 まだ09:20ですが「ROTA BEACH CLUB」の看板のテントで、ビーチ・パラソル&デッキ・チェアーを貸し出しています、5$。 借りましょう、セットして貰ってるとチャモロの男が話しかけます。 「Kさんの友達？ 僕もKさんの友達、昨晩レストランで会いましたね、MY NAME IS J」「あっそうかあ」なんて、超ウルトラC調に話を合わせ数十秒後は友達状態。 「僕はキャプテンです。 明日14:00からトローリングに行かないか?」「良いねえ、他の仲間の都合も聞いて是非行きたいなあ」。
道路を越えた向こうの建物にビールを買いに、でも廃墟。 ビール売っている店はある、と確認済み。 少し歩くと雑貨屋が。 砂だらけの足元を気にしていると、日本語で「良いです良いです、そのままで」。 Aさんという初老の日系人?の方。 後でKさんから伺うと有名な「ホットチリ」の瓶詰め工場のオーナー。 ビールとつまみを買い込んでビーチへ。 海は遠浅で数百m先のリーフに当たり砕ける波の音が心地よい。 足元のそこかしこに綺麗な魚が泳いでいます。 ビール、それから昨晩コンビニで買った「テキーラ」「オレンジジュース」を濡れた唇を舐め回しながら交互に喇叭呑みすると、正しい海辺の「ソルティドッグ」。
う〜ん、何にもしない旅もいいなあ、でも腹はへるなあ。 TがAさんの雑貨屋まで行き、カップ・ラーメンを購入。 海辺で今食べたいと云ったら当然の如く、親切にお湯を沸かして下さいました。 う〜ん、遠慮という言葉はどこへ。 15:00またブラブラ歩いてホテルに戻る。 プールの横でシャワーを浴び、更にプールに飛び込んで「塩出し」、勿論科学的な意味は全くありません。
17:00にKさんと待ち合わせて、今晩はソンソン村へ外食に。 結局、「AS PARI'S」（アス・パリス：チャモロ語で「友達」）という楽しいレストランで豪華夕食。 チャモロ料理とフィリピン料理がメイン。 あんまりよくは覚えて居ない状態で、また明日もKさんに遊びに付き合って貰うことに。 う〜ん、遠慮という言葉はどこへ 。
2001年1月13日（土） 晴れ
05:00起床。 07:00朝食、今日は流石に、胃が重いなあ、チーズ&ハムのオムレット・セット、8$。 しかし付いている筈のトーストが出てこない。 ホテル以外でも、料理の出てくる時間は大変ゆっくりしています。 日本が異常なのかなあ、さっと出てこないと怒る人には向きません。 和定食のごはん「お茶碗ごとチン」するから熱くて持てない。 とか些細な問題はもう気にしちゃダメダメ。 結局、あまり食欲ないのでそのままに、僕のオーダーが間違ってたかもしれんし。
12:00にKさんとの待ち合わせまで、Hは久し振りのダイビングへ。 僕は今日もテテト・ビーチへ。 相変わらず、昨晩買ったワインだビールだで、ボーっとします。 全く飽きません。 さあそろそろ、と帰りかけると丁度お客さんを送ってきたホテルのドライバーが乗せて帰ってくれました。 のんび〜りしたところで、お昼はKさんが働いている「ロタ・ココナッツ・ビレッジ」に連れて行って頂きました。
名物はオムレツですよ、と言うことで、オムレツ・素麺・スパゲティなんぞを取りました。 全品かなり美味しかったですねえ、ここのレストラン「ハイビスカス」は。 そうそう、このホテルは日本で2月には有名になりますよ。 芸能人カップルがここで挙式します。 あわせてプールも改装中。 誰かって? 「五郎君とゆりちゃん」です。 ここはサイパンと違って人が少ないから良いかもね。
ビール呑んで、ぼーっとしてホテルの庭とかショップを覗いたりしていると、またKさんがトローリングの西港（ROTA WEST HARBER）まで乗せてってくれます。 その前に「千本椰子林」「サン・フランシスコ・デ・ボルハ教会」「製糖工場跡」座礁船が見える砂浜も案内して下さいました。 沖合の岩礁?の様な防波堤に巨大な岩石が乗っかってます。 かなり強烈なタイフーンが来襲したのでしょうか。 そう言えばなんでも、観光名所「スイミング・ホール」もタイフーンで荒らされて今は危険な状態だとか、残念。
14:00さあ、Jのパワーボートに乗り込んで沖へブッ飛ばします。 左右２本ずつルアーを流してブッ飛ばします。 もう飛沫でびしょ濡れ、ジェット・コースター状態。 僕はヨット派なのでロタの海を静かに漂っている方が好きだけれど、船酔いしやすい人には、こんな状態のほうが酔わないみたいですねえ。 「Fish ON!」来ました、さあ、巻けっ、しかしもう歳を充分感じてしまいました。 しんどいんです、腕が。 TもHも数分しか巻けません。 なんとかあげました、沖サワラでしょうね、70-80cmはあります。 その後もブッ飛ばしましたが、当たりが来ません。 僕はもういいなあ、エンジン音うるさいし、やっぱりヨットが好き。 と思いながらビール2缶呑んでぼーっとしていると、「自然が呼び」にきます。 「もう充分楽しんだから、港へ戻ってよ」とお願いし帰ります。 西港に着いてレスト・ルームに行きたいというと、Jが飛び込めと言うので、なるほど・ザ・ワールド、とロタの海で御叱呼しました。
16:00にKさんが迎えに来てくれます。 Hが今朝ダイビング時にスタッフが来ていたTシャツ。 自分も買って着ているけれど「なんか怪しい」。 いわゆる「四十八手」の図柄。 面白いので近くにあるダイビングショップ「S2 CLUB」に寄って貰い、みんなお土産に大量購入。 ホテルまで送って頂き、一応風呂に入り一服。
17:30頃Kさんと一緒に島の北東に位置するバード・サンクチュアリ（BIRD SANCTUARY）に連れて行って頂く。 道なき道を突き進むと断崖絶壁に出る。 そこはアカシオカツオドリの生息地で、他にも約40種の海鳥が巣をつくるバード・ウォッチングの名所。 僕は高所恐怖症なので余り真下は見ません。
さあ、今日の夕食は、Kさん友人のDさんのフルーツ農園の中でのバーベキューに招待してくれるのです。 昼に釣った「サワラ」も刺身にしてくれるのです。 キャプテンＪ、クルーのＲ、Ｐも来ます。 Dさんが使用人と3年間でこつこつと築いたという、広大な素晴らしいフルーツ農園を見学させて頂き、BBQのスタートです。 妻と10歳8歳5歳の可愛い息子、そしてお母さんと暮らしています。 お母さんは和暦でいうと大正11年生、ポナペのご出身ですが、なんと13歳まで世田谷区に暮らしていらしたそうです。
正式には「ミクロネシア連邦ポンペイ州」で今はポンペイと云うらしいですね。 北緯6°54′東経158°14′だから何マイル離れているのでしょうか、ここからとにかく東南です。 当時は日本の委託統治時代ですが、カナカ族の「名門のお嬢」だったんでしょうね。 「ワタクシハ・・」と大変綺麗な日本語をお使いになられ、いろんなお話を聞かせて下さいました。 58歳を筆頭に11人のお子さんがあり、Dさん38歳が末男。 東京は寒いから辛かった。 今の気掛かりは孫達の躾とか、お孫さんも50人以上。 スゴイデスねえ。 お母さん手作りの「ポテト」も美味しかったし、刺身、肉、みんなでワイン、ビールでガンガン食いました。 御飯も出していだだいたので、Tがにぎり飯にして焼きおにぎり制作、GOODです、大変好評。 とことん遊んで帰りました。
2001年1月14日（日） 晴れ
06:00起床。 荷造りテキパキ、07:00朝食。 う〜ん、段々胃が疲れて今朝はトースト。 12:30の出発までは、付近を散策したり、プールでのんびりしたり。 ぼーっとしてると、またJとRと会いました。 ロタ空港で飛行機が定刻通り飛べばこちらのもんです。 実は、サイパンでの乗り継ぎ時間が約1時間しかないスケジュールを強行したからね。 あっ、もう「滅茶苦茶お世話になったＫさん」が、お客さんを送って現れました。 自分が送る予定じゃなかったけれど最後に、と思って見送りに来てくださいました。 ホントにお世話になりました、ありがとう。
13:30ロタ発NW3802便、14:00サイパン着。 チェックインし取り合えずビール。 サイパン空港はゴルフ・バッグを抱えた日本人で溢れかえっています。 やけに「ラーメン」「うどん」の看板も目立つ。 ロタがいいなあ。 関空は強風で降りられないかもしれないと館内放送。 まあ、出たとこ勝負。 15:15発JO 940便離陸、取り敢えず行ってみるらしい、良いことです。 遊び疲れで帰りはずっと寝ていました、飯もパス。 コンソメ・スープ頂戴、と言ったけどありません。 JALのコンソメ好きなんだけどなあ。 お茶飲んで、冬支度に替えて強風中をなんとか17:35に無事着陸。
入国審査は「僕用おきまり質問」を頂きます。 「お一人で旅行ですか」「なにか現地で預かったものはナイですか」、「はい一人ですが、何も預かったモノはありません」。 TURKEY、THAI、MOROCCO、VIETNAM、ROTAどこから帰ってきても、いつも聞かれるのは、この髭面のせいでしょうか。 もっと若ければもっと徹底的に疑られたりして（笑）。 「社会規範の上を行く」のが信条のこの俺に（爆笑）。
う〜メチャメチャ寒い。 たったの3時間で30度差はこたえるなあ。 良い友人達が出来たし、近くだし、屹度きっとまた行こう。
おしまい
01/28/2001