このノミ・エンブレムは、昔からのヨット・ノミのシンボルマークでした。 図柄は「nomi」の文字を使って「蚤」(flea)のカリカチャアとなっています。 もともと「NOMI」と云うのは、この「蚤」とはまったく関係ありません。 巷(ちまた)に膾炙(かいしゃ)されている「飲み助集団」の「飲み」から由来していると云う説も、実は間違いです。
そもそも「NOMI」というのは、この艇の元オーナー艇長であり、また拙劣川柳集団「鯨飲流（げいいんりゅう）のそん派」を率いる「家元」でもあった、「のそん海虎（のそん かいこ）」の若年の砌(みぎり)における、綽名(ニック・ネーム)だったのです。
ヨットNOMIの進水にあたって、艇を代表するシンボル・マークが欲しいと云う事になりました。 シンボル・マークを艇に付け、また「ensign」に描きヨットのフォア・ステイに翩翻(へんぽん)と翻(ひるがえ)らさせたいとの願いから、広くクルーよりアイデアを募(つの)り、幾つかの図案を元にプロのイラストレータによって作成されたのがこの「ノミ・エンブレム」なのです。
以来代々の新艇進水においては必ず艇体のどこかにこの「ノミ・エンブレム」が付けられることになったのです。 ノミ3世はスターン(とも、船尾)にだけ付いていましたが、最終艇であったノミ6世では両舷側とスターンの3箇所についていました。
艇だけでなく、ノミ・クルーのユニフォームにも付けられました。 Tシャツから始まってポロシャツ、トレーナー、ブレザー、帽子にもこの「ノミ・エンブレム」が付けられたのです。 いつぞやはこのエンブレムが盗用され、市販品のTシャツが巷に出回っていたこともあるほどの有名な「エンブレム」となったのでした。